
ケルンのピカソ、1912年 モダニズムの系譜
Picasso Cologne 1912: The Genealogy of Modernism
講演者:ペペ・カーメル(New York University)
司会:松井 裕美(東京大学)
2025/5/23(Fri)15:00-17:00
東京大学駒場Iキャンパス 18号館4階コラボレーションルーム4
University of Tokyo, Komaba Campus I (Build. 18, 4F, Collaboration room 4)
概要:今日におけるビエンナーレやアート・フェアがそうであるように、20世紀初頭の複数のサロンでも現代美術は注目の的だった。国民美術協会やフランス人芸術家サロンは時代遅れの、自然主義的な芸術を展示していたが、独立芸術家協会とサロン・ドートンヌはよりラディカルなモダニズム芸術の展示の場となった。同様の分断はほかのヨーロッパ諸国にも認められた。若い芸術家たちのグループは公式の芸術家協会と距離を置き、自分たち独自の定期的な展覧会を設立した。驚くべきことに、歴史的な回顧展を現代美術の展示とともに開催するようになったのは、サロン・ドートンヌや各地の分離派のような、モダニズムの展覧会であった。
1903年のウィーン分離派展覧会にはフランス印象派の回顧展が含まれていた。1904年のサロン・ドートンヌではポール・セザンヌとピュヴィス・ド・シャヴァンヌの回顧展が開催され、1905年にはエドゥアール・マネとJ.A.D.アングルの回顧展が続いた。この新しいアプローチの頂点は1912年のケルンでのゾンダープント展である。そこではフランス、オランダ、スイス、ハンガリー、ノルウェー、オーストリア、ドイツからの新しい絵画と彫刻が紹介された。ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、ポール・セザンヌ、ポール・ゴーギャン、ポール・シニャック、エドヴァルド・ムンクといった画家たちに捧げられた部屋のなかには、パブロ・ピカソの部屋もあった。16点のピカソの作品が展示され、青の時代と薔薇色の時代から、初期の「アフリカ的」キュビズムの段階、そして「分析的」スタイルのきらめくような格子までの展開が辿れるようになっていた。この講義では、若きピカソ(1912年時点で31歳であった)が現代美術の頂点に立った歴史的なロジックを、再構築する。
講演者について:ニューヨーク大学美術史学科教授。主著に『Picasso and the Invention of Cubism』(Yale University Press, 2003)、『Abstract Art: A Global History』(Thames & Hudson, 2020)、『Looking at Picasso』(Thames & Hudson, 2023)。監修した展覧会に、「Robert Morris: Felt Works」展(Grey Art Gallery, New York University, 1989)、ジャクソン・ポロック回顧展(MoMA, 1998)、「The Age of Picasso: Gifts to American Museums」(Rome and Santander, 2004)、「New York Cool: Painting and Sculpture from the NYU Collection」(Grey Art Gallery, New York University [他4会場], 2008-2009)、「Conceptual Abstraction」(Hunter College / Times Square Gallery, 2012)など。
主催:東京大学大学院総合文化研究科超域文化学研究専攻比較文学比較文化コース・松井裕美研究室
共催:東京大学芸術創造連携研究機構
言語:英語(逐語通訳あり)
問い合わせ:松井裕美(hiromimatsui[a]g.ecc.u-tokyo.ac.jp)/〒153-0041 東京都目黒区駒場3-8-1
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